100年後も愛着を持ち続けられるインテリア。
株式会社ウッドワークス(以降、ウッドワークス)の創業は1926年。元々は、引き戸や障子など日本の住空間に欠かせない建具の製造・販売・施工を行っていたが、時代のニーズが和室から洋室に移っていく中で、扱う製品も変動してきた。現在はドアを中心に、マンションなどの集合住宅に向けた製品を製造・販売している。生み出す製品は変われど、木への愛情と敬意は変わらない。
「私たちが扱っているのは、森の中で100年育ってきた木。人間の都合で切り倒された木は、最大限に活用しなければいけません。私たちのミッションは、100年間使っていただける製品を生み出すことです」とウッドワークス 代表取締役社長 河井頼継さんは話す。
時が経つごとに美しさが増す建具を世に生み出す。それがひいては、住空間への愛着につながっていく。もっと自由に、こだわりが生かせる家づくりをするために、ウッドワークスが提唱しているのが「FURNITECTURE」という概念だ。これまで建築領域(ARCHITECTURE)だったものも、家具(FURNITURE)のように住まい手の感性に応えられる商品づくりを行おうとするものだ。
この思いに共鳴した企業6社と生み出したのが、コラボレーションブランド「Aria & Aura」だ。ウッドワークスは、ドアメーカーとして参画するだけではなく、ブランド全体の運営を担う。製品は完全オーダーメイド。こだわりの無垢挽板材を使用したドアや木製サッシ、ガラスパーテーションなどの建具類、キッチン・ドレッサーなどの造作家具、階段・棚や無垢一枚板からのオーダーもできる。住まい手が求めるこだわりと、建築家が提案したくなるこだわりと、どちらにも応えられるブランドだ。
空間への出入り口を司る存在。「Aria & Aura」のドアのある空間に身を置くと、そのことがまざまざと実感できるだろう。「Aria & Aura」のオーダーメイド製品は、千差万別。床・壁、家具と調和したドアの存在感が、空間をより一層格調高くさせている。
一般的なドアと「Aria & Aura」のドアの違いは、触れた時に分かる。使用されるのは、広葉樹林の天然木の中でも、クラフトマンの目利きによる厳選された「銘木」に限られる。表面に触れた時の凹凸感は、まさに生きている木そのものの感触だ。
「Aria & Aura」の自由なデザインを可能にしているのが、無垢挽板だ。加工された後も木は呼吸をするため、反り・ねじれや割れが少なからずとも生じる。一般的に表面には0.3mm程度にスライスした突板と呼ばれるものを使用するが、「Aria & Aura」では独自の技法により、表面に2mmの無垢挽板を使用している。2mmという厚みのある挽板を採用するケースは、世界にも類を見ないだろう。
今一度、ドアは選べるという考えを持ってほしい。ドアはインテリアとしての演出に一役買うだけではなく、住空間の大きな骨格を担っているのです。
家づくりの中で、ドアや造作家具は施工サイドにて決定されることもあり、インテリアとしては注目されにくいパーツだった。これを解消し、ドアを通して住まい手の選択肢をさらに広げるべく、ウッドワークスが大切にするFURNITECTUREの概念のもと、7年ぶりの新商品が「ARTECT the prime collection」だ。
波や風など自然を感じさせる表面のドア、白太を大胆に生かすように突板をデザイン、コラージュしたドアや、4000年湖底に沈んだまま炭化したオークの突板をそのまま生かしたドアなど、住空間を一層引き立ててくれる表情豊かなラインナップがそろっている。
「ARTECT the prime collection」には、特殊な塗装技術が施されている。それは、徹底した「数値管理」とクラフトマンがなし得る「人の技」との融合による。湿度や塗布量などの配合や条件を数値化することで成される高い品質と、人間の繊細な感性が、絶妙に混ざり合うことで、製品に豊かさをもたらしている。「人は自然のものに触れると、どことなく安心感や温かみを感じられるもの。製作過程に人間味を残すことで、より愛着を持っていただけるように仕上げています」。ウッドワークスの木への愛情と製品づくりへの信念が感じられる。
日本では戦後、スクラップアンドビルドが繰り返されてきた。住宅建材においても新品が一番美しく、その後は経年劣化していくというのが一般的だ。「ヨーロッパの建物には息をのむような美しさがあります。400〜500年前に建てられた建物が今でも現役で活躍しています。新品では出せない、古いものだからこそ醸し出せる安定感と魅力。私たちも見習うべき意識があるのではないでしょうか」と 河井さんは話す。
木への敬意とともに、変化する住空間と向き合ってきた株式会社ウッドワークス。100年後まで愛着の持てる住まいと暮らしを見据えて、真摯なものづくりに取り組んでいる。